行政書士に相談できることとは
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や手続きの代理を行う法律系の国家資格者です。難しい申請書類を作ってくれる人というイメージがありますが、暮らしや仕事で困ったときに気軽に相談できる「手続きの専門家」として頼ることができます。
ここでは、一般の方が行政書士に相談できる主な内容を、暮らしとビジネスの両面から紹介します。
暮らしの場面で相談できること
日常生活の中でも、役所の手続きや法律が関わる場面は意外と多くあります。いざというときに慌てないよう、代表的な相談内容を知っておきましょう。
相続・遺言に関する相談
親族が亡くなったときの相続手続きや、将来のために遺言書を残しておきたいときは、行政書士に相談できます。相続人の調査や財産の整理、遺産分割協議書の作成などをサポートしてくれるので、遺族の負担を減らしながら手続きを進められます。
「どの財産を誰にどのように残すか」といった希望を整理し、法的に有効な遺言書の形を一緒に考えてもらえるため、将来のトラブルを防ぎたい方にも向いています。
離婚協議書・自動車手続きなどの相談
離婚の話し合いを進める際、「養育費や財産分与をきちんと決めておきたい」と感じたら、離婚協議書の作成について行政書士に相談できます。約束した内容を文章にして残すことで、後々の「言った・言わない」のトラブルを防ぎやすくなります。
自動車の名義変更や車庫証明の取得なども、行政書士がよく扱う手続きです。平日に役所へ何度も通う必要がなくなり、忙しい方でもスムーズに手続きを終えられます。
仕事・ビジネスで相談できること
行政書士は、個人事業主や中小企業の経営者にとっても心強いパートナーです。開業準備から事業の拡大まで、さまざまな場面で相談に乗ってくれます。
会社設立や創業に関する相談
新しく会社を立ち上げたいときには、定款の作成や事業目的の決め方など、専門的な書類が必要になります。行政書士に相談すれば、事業内容に合った定款案の作成を任せることができ、初めての方でも安心して準備を進められます。
個人事業主としてスタートするか、法人化するか迷っている場合にも、それぞれの大まかな違いや手続きの流れについて説明を受けることで、自分に合った形を選びやすくなります。
許認可申請・契約書などの相談
建設業、運送業、飲食業、古物商など、事業によっては行政からの許可や届出が欠かせません。行政書士は、業種ごとに必要な許認可の種類や条件を整理し、必要書類の準備から申請までをサポートしてくれます。
また、取引先との契約書や業務委託契約書の内容について相談し、公平でわかりやすい文面に整えてもらうこともできます。内容証明郵便の文案作成を頼める場合もあり、リスク管理の観点からも役立ちます。
行政書士に相談するメリット
「自分で調べれば何とかできそう」と感じる手続きでも、実際にやってみると時間と労力がかかるものです。行政書士に早めに相談することで、次のようなメリットが期待できます。
手続きの負担を減らし本業に集中できる
役所の書類は、書き方や添付書類のルールが細かく決められており、慣れていないと何度も窓口に行き直すことになりがちです。行政書士に依頼すれば、必要事項を伝えるだけで大部分の作業を任せられるため、本業や家事に時間を使うことができます。
将来のトラブルを未然に防げる
契約書の不備や手続き漏れが原因で、後から思わぬトラブルが発生するケースも少なくありません。行政書士は、多くの相談を通じて問題になりやすいポイントを把握しているため、その経験をもとに書類の内容をチェックしてもらうことで、将来のリスクを減らしやすくなります。
行政書士に相談するときのポイント
行政書士への相談をより有意義なものにするためには、事前の準備が大切です。少し意識するだけで、短い時間でも濃い相談ができるようになります。
相談内容と資料を事前に整理する
これまでの経緯や現在困っていることを簡単にメモしておき、関係しそうな書類をまとめておくと、スムーズに話が進みます。行政書士からの質問にも答えやすくなり、具体的なアドバイスを受けやすくなります。
費用や得意分野を確認してから依頼する
相談前には、報酬の目安や得意分野をホームページなどで確認しておくと安心です。相続に強い事務所、許認可に詳しい事務所など特色はさまざまなので、自分の相談内容と相性が良さそうかチェックしてみましょう。
役所の手続きや書類作成で不安を感じたときは、一人で抱え込まず、身近な専門家である行政書士に早めに相談してみてください。